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コラム

納得して抗がん剤治療を受けていただくために 〜薬学専門家からの提案〜

瀬戸山 修

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vol.12 緩和ケアの考え方が変わってきています

1.従来の緩和ケアと病気の早期から提供する緩和ケア

世界保健機関(WHO)では、1989年に、緩和ケアについて「治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対する積極的な全人的ケアであり、痛みやその他の症状のコントロール、精神的、社会的、そして心理的な苦悩の問題の解決が最も重要な課題となる」と定義していました。

しかし、2002年には、「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して、適切な評価を行ない、それらの問題が障害とならないように予防することや、治療をすることで、 QOLを改善するためのアプローチである」と緩和ケアの定義が変更になりました。この定義の改正は、緩和ケアが終末期ケアだけではなく、病気の早期から提供されるべきであることを強調し、症状が悪化することを予防することの重要性を強調しています。

日本でも、2007年に施行された「がん対策基本法」では、病気の早期から緩和ケアを提供することの必要性が強調され、現在、その提供体制構築のための努力が行われています。

米国胸部疾患学会(American College of Chest Physicians:ACCP)が2003年に作成した肺がんの診療ガイドラインでは、緩和ケア(palliative care)と終末期ケア(end-of-life care)を分け、症状を緩和する緩和ケアと良質な終の棲家を提供する終末期ケアを分けてガイドラインを掲載しています。このように、病気の早期から提供する緩和ケアと、従来から提供されている終末期に提供する緩和ケアとを分けて考えることが必要になってきたと思われます。

2.ホスピスの歴史と緩和ケア

終末期ケアにたびたび使用されるホスピスは、元々は中世ヨーロッパで、病や健康上の問題がある旅の巡礼者をケアや看病したことから、病気や社会的に弱い方々をもてなす(hospitality)という意味で、看護収容施設全般をホスピスと呼ぶようになりました。そして20世紀に入り、治癒が期待できない患者さんの人生の最期を有意義に過ごしていただく施設としての近代的なホスピスが、イギリスを中心に始まったとされています。

このホスピス・ケアの運動によって、患者さんの症状を軽減するための緩和ケアという専門性が発展してきたと考えられています。このように、ホスピスという言葉は、「立場の弱い患者さんをもてなす」ことであるということから考えますと、がん医療全般にわたる概念的なものと思いますが、未だに「ホスピス=終末期ケアを提供する施設」、「緩和ケア=終末期ケア」と考える方が医療専門職にも一般の方にも多いのかもしれません。しかし、緩和ケア=終末期ケアと考えて、緩和ケアとホスピスを同じ意味であると言っている限り、病気の早期からの緩和ケアの実現には問題があるのかもしれません。

3.病気の早期から緩和ケアを提供するためには

病気の早期から緩和ケアを提供するためには、患者さんが受けられている抗がん剤などの薬物療法の効果や副作用などの性質を知る必要があります。患者さんが苦悩されている症状には、抗がん剤などの治療の副作用もありますし、がんの進展による症状もあります。それらの症状がなぜ起きているのか推定できなければ、適切な症状緩和もまた、むずかしくなることが多くなるかもしれません。

また、がんの治療で使用される薬物療法と、症状緩和で使用される薬物療法の中には、相性が悪い(専門的には薬物相互作用と言います)ものがありますので、病気の早期から緩和ケアを提供するためには、これらの薬物療法の知識も必要になると思われます。

すなわち、「症状=がんの進展による症状」だけを考えていた、従来の緩和ケアの考えでは、病気の早期から緩和ケアを提供することは、むずかしいかもしれません。

* このコラムの内容は、次回のコラム「vol.13 適切な緩和ケア実現のためには、意識改革が必要!」に続きます。どうぞ併せてお読みください。

※執筆者の瀬戸山氏が運営する爽秋会クリニカルサイエンス研究所では、一般向けと医療関係者向けに、がん医療に関する情報を提供しています。こちらのサイトもご利用下さい。

(2009年1月執筆)


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